幽霊はいない

215ひっそり無名:2009/01/29(木) 12:57:44 ID:y4FFtsZkO

お許しを頂いたので、(多分)長文になりますが書き込みさせて頂きます。

私の行方不明の異母兄について書き込みさせて下さい。

この話は、兄が謎の手紙を残して失踪する数年前の話です。

心霊スポット巡りには半端な紅葉美しい秋。
「幽霊って兄さんは信じる?」
そんな半端な季節に心霊スポットに行く事になったのは、私が兄にそんな事を聞いてみたせいだったのでしょうか。

「兄さんどう思う?」
兄のプチ・オカルト好きを知っていた私は答えを半ば確信を持っていたように思います。
しかし、
「信じないね。」
と兄が言ったため、私の予想は裏切られました。
「なんで!?」
当時の私はベッドに寝転ぶ兄の近くまで詰め寄りました。兄の部屋は、その趣味に相応しく怪しげな紋様の入った所々茶色に染まった白い布(二万八千円)をベッド近くにカーペットのように敷いていて、壁には短剣(三万円×五)が飾られていました。
明らかにオカルトな物を好みお金を使っています。そんな兄が、幽霊を信じない?
「幽霊ってのは、妄想だ、妄想。怖いと思うから見えるんだアポ(※アホという意味)実際にいるのは、」 「妖怪?悪魔?」
「違うアポ。それらを作り出した人間と、それらによく似た生物だ。」

「怖いから信じないの?」「んなわけあるか。大体、幽霊とか妖怪とかは人間が作り出したものなんだ。だから怖いとかはない。・・・あえて怖いっていうならそれらを作り出した人間だ、犯罪者とかのほうが怖いだろうが。・・・よし、連れて行ってやる。」

どこに?と私が聞くと兄はただ、手振りで車に乗れと示すだけでした。

助手席は母(兄にとっては生母ではない)しか乗せないという半端なマザコンを発揮する兄の車。

後部座席に座った私は、すぐ前にいる兄にしつこくどこに?どこに?と聞いていましたが、まさしく問答無用で発進してしまい。おまけに
「目的地に着いたら起こすから、うるさくするな。寝てろ」
と言われ、後部座席で丸くなりました。

「着いたぞ、起きろ」
すぐ目を覚ました私でしたがあたりは薄暗く、ぽかんとしてしまいました。
「兄さん今何時?」
「あー・・・6時くらい」
当時の私は、少し良い自転車が欲しいため家の手伝いをしていました。6時という事は夕飯の手伝い分のお駄賃(!)はなしという事になります。
「姉や(兄にとっては異母妹)と母(兄の生母ではない)さん、親父には言っといたから大丈夫だ。」

行くぞ、と青暗い外と暖色の車内灯、懐中電灯片手に兄は私を促しました。

車から足を降ろした地面はアスファルトではなく、山のゴツゴツした岩でした。どこかの山中と思われる傾斜もよく変わる岩の上を岩から岩へ移りながら、ここどこ?と聞けば、しつこいと言われを繰り返しました。

「ほら、ここだ。」
目の前には細く高く山に切り込みを入れる洞窟が。
「洞窟?」

「そうだ、洞窟。しょーにゅーどーとか、洞窟に湧く温泉なら一儲けなんだが、残念ながらただの洞窟だ。」
色々欲張る兄の懐中電灯か洞窟の入り口を照らします。
「昔、この洞窟の奥で大学生カップルが心中した洞窟だ。幽霊とやらがいるならバッチリだろう。行くぞ」

216ひっそり無名:2009/01/29(木) 17:43:54 ID:y4FFtsZkO

10000バイトまで大丈夫なのでしょうか?

兄は暗いというのに、さっさと先に進みます。

ほんの七、八歩で洞窟の静かで暗い世界を懐中電灯で照らすという状態になりました。当時の私は、ライトアップされた鍾乳洞には入った事がありますが、本物に真っ暗な洞窟に足を踏み入れたのははじめてでした。

洞窟の闇とは、音を吸い取ってしまうのでしょうか。足音は大きく響くことなく、進むごとに消えていくような感じでした。

兄はしばらく無言でしたが「オイオイ、雰囲気ぶち壊しだな。他にも来てやがる。」
と私を振り返りました。私は驚きました。洞窟は暗く私たちの足音以外は静かだったためです。

「何、人、いるの?」
「何だ?チビ、聞こえないのか。もしかして眠いか。・・・五、六人はいるな。みんな履いてる靴のタイプが違うみたいだな、足音が全然違うし、よく響いている。しっかし、ヒール高い靴履いて洞窟にくるアポな女っているのな。しかも何か香水くさいな。」

鼻のよくない兄(夏場腐っためんつゆを臭いがわからないために使用→病院)が決して狭くない洞窟が香水くさい・・・
「あぁ、七人だ。下駄とは粋だな。」
全く私には聞こえない七人分の足音・・・
「もう少しで目的の洞窟奥だ。足音からして、そこに七人もいるのか・・・少し興醒めだな。」
つまらなそうに言う兄に、その七人って幽霊じゃないの?と聞くことは出来ませんでした。

やがて兄の懐中電灯が照らす洞窟内を見るのが怖くなり、闇ばかりを見つめていた私は兄が誰かと話だしたのに気付くのが遅れました。

「秋に肝試しですか?・・・まぁ俺らもですけど、七人で肝試しとは大所帯じゃ、あぁ、七人・・・奇数だからなんですか」

兄は、闇に向かって話をしている。何より奇妙懐中電灯で相手を照らそうとはしない事。確かに礼儀として懐中電灯を向けるのは失礼ですが、相手も懐中電灯を持っていないのです、足元を照らしても失礼にはなりません。当時の私は、兄が懐中電灯で話している相手を照らすのが怖かった、光が怖いと感じたのはあの時が最初で最後だったかもしれません。
「洞窟にハイヒールじゃ危なくないですか?」

洞窟が仮に音を吸い取ってしまうとして、相手の話し声まで吸い取ってしまうのでしょうか。一切私には聞こえません。
「え?連れですか?一人いますけど、・・・あと五人何とかならないかって・・・無理ですね。家から遠いんで呼べないですって、あ、帰るんですか」

暗闇のなか私のそばを三人分の気配が通り過ぎます。暗闇に目が慣れているため、そばを通り過ぎたら相手の服の色ぐらいはわかるはずですが、わかったのは気配だけ。気配が通り過ぎたという事は、兄の自作自演ではないのです。私はぞっとしました。
「やれやれ、勝手な連中だな。自分らが七人だからってこっちまで七人になる必要皆無だろ。」

「何か、さっきの人達そんな事言うなんて変じゃない?もしかして幽霊だったんじゃないの、洞窟の」
「この洞窟は幽霊二人だけだろ。七人ってなんだ、七人って。何角関係だ、アポ」
「幽霊なんていないってわかったか?
あー興醒めだ、帰るぞ。途中の店で好きなもの食べさせてやる。」

《幽霊はいたのよ。でも、先こされちゃった。ごめんなさいね》
背の低いほうの私の肩あたりから、はっきり女性の声がし、全力疾走で入り口を目指しました。
こちらは兄には聞こえなかったらしく、アポ、走るなと兄が追いかけてきました。

車が発進した時の安堵は何とも言えないものでした。また眠くなり、次起こされたのが自宅近くのファミレスでした。

あの洞窟はどこにあるのか、兄の手がかりを求めている今でも探していますが、わかりません。小さな神社二つと橋を渡った記憶があるのですが、記憶と一致する風景を見る事は出来ませんでした。

もしかしたら、兄は七人いた、という「それら」とまだ一緒にいるような気がしてならないのです。

兄の話を終わります。

長い上に面白くない話すみません。リベンジ出来ればと思います。

ちなみに、兄はそれからも幽霊を信じませんでした。ただ洞窟から帰ってすぐ文献を漁っていた事が懐かしいです。

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