道標(下

187『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:19:36 ID:Ugm8l/Kw0
『道標(下)』

 飛行機が那覇空港に着いたのは午後1時過ぎ、光の圧力さえ感じるような強い日差し。
翠の事を考えると、午前中の便が良いと思ったのだが仕方ない。
何しろ夏休み。トップシーズンの沖縄で前日の予約。空席があっただけでラッキーだ。
飛行機の予約の関係で旅行は3泊4日の予定だが、
那覇市内のホテルは2泊分しか予約出来ていない。その間に空室が出なければ
宿泊先を変えるしかないが、タイミング良く見つかるかどうか分からない。
台風が近づいているという情報もあり、不確定要素が多いのがちょっと心配だ
ロビーを出て配車係からレンタカーの鍵を受け取る。
『なるべく目立たない車にして』というSさんの指示通り、4ドアのミニバン。
早速車を出す。まずはホテルにチェックイン。
ホテルのレストランで昼食を済ませてから、少女の祖母が住む集落へ向かう。
○×村、海岸沿いの小さな集落。ナビの画面で見る限り、1時間半程で到着出来るはず。
翠は姫に抱かれたままずっと寝ている。環境の変化は気にならないらしい。

188『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:21:36 ID:Ugm8l/Kw0
 集落につながる海岸沿いの国道、窓を閉じていてもセミの声が聞こえる。
交差点から海側の脇道に入り、少女の案内で車を走らせる。
大きな石の側を通り過ぎた時、後部座席で姫の声がした。
「凄い、こんな事が。」
助手席のSさんの表情が変わった。道の先を見つめる眼が輝いている。
「瑞紀ちゃん、あなた『お祖母さんがノロをしてた』と言ったわね。」
「はい、年取って体調を崩すまではずっと。そう聞いてます。」
「それは違う、お祖母さんは今も正真正銘のノロ。その力で集落を護ってる。
もしかしたらと思っていたけど、やはりこの先の集落は一種の聖域ね。」
さらに進み、赤瓦の建物が建ち並ぶ集落に出た。
「そこに車を停めて待ってて下さい。私、たか子おばさんに話してきますから。」
「たか子おばさんって?」
「私の母の姉です。ずっとおばあさんの世話をしてます。」
「そう。じゃ、あなたの首のアザを見せて事情を説明してね。」 「はい。」
しばらく待っていると少女が戻ってきた。
「おばあさんに会えるそうです。私たちが来るのが分かってたみたいで。
あ、車はあの広場に停めて下さい。」

189『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:28:57 ID:Ugm8l/Kw0
 俺たちは少女の案内で家の中に入り、応接間に通された。
廊下の反対側は大きな畳間。壁の一部が大きな仏壇になっているのが見える。
クーラーはないが、部屋を吹き抜ける風が涼しい。全ての窓が開け放たれていた。
「いま、たか子おばさんが準備をしてます。もう少し待って下さい。」
テーブルにグラスを並べ麦茶を注ぐ。
「この家には良く来たの?」 翠を抱いた姫は興味深そうにあちこち見回している。
「はい、お正月とお盆と、他にも色々。何だか、懐かしいです。」
良い香りの麦茶を飲んでいると廊下の奥から足音が聞こえた。
50歳くらいの女性が応接間の入り口で膝をつき、俺たちに頭を下げた
「ようこそいらっしゃいました。母の言いつけでお迎えの準備をしておりました。
瑞紀を助けて頂いたそうで、本当にありがとうございます。
母も是非お礼が言いたいと申しておりますので、どうぞ奥の部屋へ。」
女性の案内で廊下を進む。台所を抜けて右に曲がり、再び廊下。
女性は突き当たりのドアを開けた。
「どうぞ、中へ。」
先に少女が部屋へ入る。Sさん、翠を抱いた姫、そして俺。
最後に女性が部屋へ入ってドアを閉めた。
八畳程の畳間、奥に介護用のベッドがあり、年老いた女性が横になっていた。
ベッドを調整して少し体を起こしている。

190『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:30:41 ID:Ugm8l/Kw0
 その目を見た途端、俺にも分かった。確かに、この人は本物だ、しかも飛びきりの。
Sさんがベッドに歩み寄り、畳の上に正座をした。俺たちもSさんにならう。
「私、Sと申します。瑞紀さんのことが縁となり、ノロ雲上(のろくもい)にお会いできて光栄です。
瑞紀さんに掛けられた呪いを祓うために、どうかお力をお貸し下さい。」
女性が老女の耳許で話しかける。方言に翻訳してくれているらしい。
「・・・あんし・・・がーらだまぬ・・・うかみんちゅに・・・ぐりさぬ・・・」
老女は手を合わせて俺たちに頭を下げた。
「これ程の力のある方々が孫を守って下さって幸運でした。
お礼の申し上げようも御座いません。」 女性が通訳してくれる。
「瑞紀さんに掛けられた呪い、瑞紀さんの血縁と関わりがあるように思います。
何か心当たりが御座いますか?」
女性の通訳を介して会話が続く。俺たちはじっと2人の遣り取りに耳を澄ませた。
「・・・いちむ・・・うむいあたゆん・・・いちじゃまぬ・・・」
「確かに、一門の誰かが関わっているようです。今からそれを調べるのでお待ち下さい。」
「私たちはこのまま此処にいても?」 「どうぞ。」

191『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:31:57 ID:Ugm8l/Kw0
 女性は一旦部屋を出て、木製の小さなたらいと木の枝を持って戻ってきた。
翠は起きているが、姫の腕の中で老女の方を見つめている。
女性はたらいを畳に置き、木の枝を老女に渡した。たらいには水が張ってある。
老女は両手で枝を捧げ持ち、眼を閉じて小声で何事かを唱えた。
次第に辺りの空気が張り詰めていく。やがて老女が眼を開けた。
黒い枝から小さな葉を一枚取る。「くり・・くぬ・・あ○りうふぐ・・。」
その葉を女性に渡す。女性はその葉をたらいの水に浮かべた。
さらに小さな葉をもう一枚。「くり・・や・・くししま△く・・。」
次々に葉が浮かべられ、その数は17枚になった。不思議なほど綺麗な円を描いている。
老女は再び両手で枝を捧げ持ち、眼を閉じて小声で何事かを唱えた。
眼を開け、右手で持った枝をたらいの上でゆっくりと振る。二度、三度。
枝を女性に渡し、老女は水面を見つめた。
...これは。
俺たちの見ている前で一枚の葉が茶色く変色した。
その葉から、真っ赤なものが一筋、たらいの底に向かってすうっと沈んでいく。血?

192『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:32:56 ID:Ugm8l/Kw0
 「・・・ちむん・・・はじかさぬ・・・うくぅいけーし・・・ねーぶん・・・」
「事情が分かりました。一門の者がこのようなことに関わりお恥ずかしい限りですが
自分が責任を持って始末しますから、この事はくれぐれも内密にお願い致します。」
その直後、Sさんが畳に手をつき頭を下げた。
「ノロ雲上は既にご高齢、体調も優れないのにそのようなことをなさるのは体に毒です。
瑞紀さんと関わったのも多生の縁。この呪いの始末、私たちに任せて頂けませんか?」
顔を上げて老女を見つめる。
女性は少し驚いた顔をしたが、やがて老女の耳許で囁いた。
老女もまっすぐにSさんを見つめた。ぴいん、と空気が張り詰める。
重い沈黙、どのくらいそうしていただろうか。
「・・・うぃーしに・・・はじちりむぬや・・・てぃとぅらち・・・」
「お言葉に甘えてお任せいたします。不心得者は煮るなり焼くなりご存分に。
ただ、先程も申し上げた通り、くれぐれも内密にお願い致します。」
「ありがとう御座います。万事心得ました。ご安心下さい。」
Sさんはハンドバッグの中から小さな袋と白い紙を取り出した。

193『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:34:34 ID:Ugm8l/Kw0
 袋の中から人型を取り出し何事か小声で呟く。
右手で人型を持ち、その下端で変色した葉に触れた。
たらいの底に沈んでいた赤いものが、真っ赤な細い筋になって茶色の葉に伸びていく。
みるみるうちに人型の半分程が赤黒く染まった。
 人型を白い紙に手早く包んで小さな袋に納め、
Sさんはもう一度、老女に向かって深々と頭を下げた。
「では、私たちはこれで失礼致します。
ノロ雲上、どうかご自愛の上、これからも末永くこの集落をお護り下さいますように。」
Sさんが立ち上がると女性が部屋のドアを開けてくれた。
俺と姫も立ち上がって老女に頭を下げる。
少女も立ち上がったが少しよろめいた。手を取って支える、足が痺れたらしい。
「ばいばい。」 思わず振り向いた。翠の声だ。老女に向かって手を振っている。
Sさんも驚いた顔で翠を見つめている。
「ばいばい。」 翠がもう一度手を振った。
「・・・ばいばい・・・」 翠に向かって手を振り返す老女の目に、涙が光ったように見えた。

194『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:35:35 ID:Ugm8l/Kw0
 「ノロ雲上との面会も無事に済んだし、ご両親に電話をかけて事情を話しても良いわよ。
ただし、『口止めされてるから沖縄にいる間何処にいるかは話せない』って
そう言ってね。本体がこのホテルまで来ると色々面倒だから。」
ホテルのレストランで夕食を食べ終え、部屋に戻るとSさんは少女にそう言った。
少女は早速ケイタイを持ち、席を外して両親に電話をかけた。10分程話していただろうか。
電話を終えて戻ってきた少女の眼は赤く、少し思い詰めた表情だ。
「どうしたの?」 姫が心配そうに問いかけた。
「両親が『きちんとお礼を』と言ってました。
あの、Sさん、Lさん、Rさん。見ず知らずの私のためにこんなに良くしてくれて
本当にありがとう御座います。私、今までちゃんとお礼も言えなくて、御免なさい。」
「お礼を言うのは未だ早い。本番は明日の夜よ。今夜はしっかり寝て明日に備えて。」
「明日、呪いの始末をつけるんですか?」
「そう、ノロ雲上の依頼を受けたから、これはもう私の仕事。
あなたには悪いけど、この呪いを始末する方法は私が決める。ノロ雲上の希望通りに。」

195『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:36:39 ID:Ugm8l/Kw0
 翌日、台風の影響で朝から強い雨が降っていた。
「Rさん、瑞紀ちゃん知りませんか?朝ご飯食べた後、暫く姿が見えないんです。」
「いいえ、知りません。」 「護符を持たせてるから大丈夫だと思うけれど、少し心配ね。」
その時、ノックの音がした。ドアを開けると、びしょ濡れの少女が立っていた。
右手にオレンジ色っぽい封筒を持っている。
「どうしたの瑞紀ちゃん!そんなに濡れて。」
姫が浴室に走る、タオルを取りにいったのだろう。
「昨夜言ったでしょ。今日が本番なのに体調崩したらどうするの。」
「あの、Sさん、これ。」 少女が封筒をSさんに差し出した。
「お金?どうして?」
「あの、呪いを祓うのは、普通に頼んだらすごくお金がかかるって聞いて。
それに飛行機のチケット代やホテルの宿泊代もあるし、食事代も。
全然足りないかも知れないけど、これで...」
少女は封筒を差し出したまま俯いた。
「アルバイトして貯めたお金?」 「はい。」

196『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:37:43 ID:Ugm8l/Kw0
 Sさんは一度封筒を受け取り、改めてそれを少女の両手に握らせた。
「どうして?」
「確かに、頼まれた仕事なら、それなりの報酬と必要経費を貰うことになってる。
でも、あなたに一緒に来て欲しいと言ったのは私。それに、あなたも聞いたはずよ?
呪いの始末も、私がノロ雲上に頼んでやらせて貰うことになったの。
だからこの件であなたからお金を受けとる理由がない。」
「でも、それじゃ私の気持ちが。」
「じゃ、こういうのはどうですか?」 姫が少女にタオルを渡しながら話しかけた。
「沖縄で食べる夕ご飯は明日でお終いですよね。だから明日みんなで食べる夕食の代金を
瑞紀ちゃんに払って貰いましょう。それでお金の話はお終いってことで。」
台風の影響を心配した予約客のキャンセルが出たため、
俺たちは明日まで同じ部屋に宿泊できることになっていた。
「良い考えね。ホテルのレストランだから結構高いわよ。瑞紀ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫です。それでお願いします。」
「じゃ、早く体を拭いて着替えて。温かいシャワー使った方が良いかも。」
「はい。」 少女はようやくホッとした笑顔を浮かべた。

197『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:38:49 ID:Ugm8l/Kw0
 その夜、俺たちは早めの夕食を済ませて7時前には部屋に戻った。
暫く地元のテレビ番組を見たり、翠の相手をして遊んだりしながら
交代でシャワーを使ったあと、Sさんが言った。
「じゃ、そろそろ始めるわよ。準備するから、10分後にもう一度此処に集合。
このあと朝まで部屋から出られないかも知れないから、何か買うなら今の内にね。」
俺は一階の売店で辛口のチューハイを6本買って部屋に戻った。
備え付けの机にSさんが小さな祭壇を設えている。祭壇の横に折りたたんだタオル。
机に白い袋を2つ置き、1つの袋から取り出した人型を祭壇に安置した。
少女の髪を仕込んだ人型、沖縄に発つ前に少女の部屋から回収したものだ。
そしてもう1つの袋から取り出した人型を折りたたんだタオルの上に置いた。
半分が赤黒く染まった人型。呪いを祓うのに使うのだろうか?
裏返した空き缶の底に、姫が小さなロウソクを立てて火をつけた。部屋の灯りを消す。
「じゃ、これから始める。もし、ロウソクの火が消えたら要注意。
特に瑞紀ちゃんは気をしっかり持って。L、お願いね。」 「はい。」
少女は翠を抱いた姫と同じベッドに座っていた。Sさんがその周りに結界を張る。
それから祭壇の人型をタオルの上に移した。赤黒く染まった人型を白い紙で覆う。
Sさんと俺がもう1つのベッドに座り、結界を張って準備は完了。

198『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:41:00 ID:Ugm8l/Kw0
 誰も喋らない。ゆっくりと時間が過ぎる。ロウソクは少しずつ短くなっていった。
ロウソクが燃え尽きそうになるとSさんが新しいロウソクに火を点ける。
2本目、3本目。4本目のロウソクが半ばまで燃えた時、その炎が大きく揺れた。
少女の肩がびくっと震える、姫が少女の手を握った。翠は既にベッドの上で寝ている。
ロウソクの炎はもう一度大きく揺れ、そして消えた。部屋の中を満たす闇。
暫くすると眼が慣れ、薄いカーテン越しに漏れる街の灯りで部屋の中が見えてくる。
ふと、背後にゾッとするような気配を感じた。少女の顔が強張っている。
ゆっくりと振り返る。薄いカーテン越し、窓の外に黒い人影が浮かんでいた。
俺たちの部屋は6階、当然人間ではない。その気配は更に密度を増した。
『やっと みつけた』
少女の頬を伝う涙が光って見える。
「〇吉おじさん、どうして?」 少女の体が傾いた、姫が抱き止める。
突然、Sさんが机に駆け寄った。
『返れ・・・・・は射手へ』
その直後、窓の外の気配が消えた。カーテン越しに見える街の夜景が美しい。
「これでお終い。」 Sさんは部屋の灯りを点けた。 少女は気を失ったままだ。

199『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:43:21 ID:Ugm8l/Kw0
 少女を姫に任せ、俺はSさんと一緒に祭壇を片づけた。
タオルの上の白い紙に真っ赤な染みが拡がり、その中心に縫い針が刺さっている。
少女の人型は大きく破れ、ちぎれかかった部分から髪の毛が見えていた。
Sさんがベッドに面した窓を少しだけ開ける。
少女の人型から取り出した髪の毛を空き缶の燭台に置き、窓際で焚き上げた。
残った人型と紙の祭壇、折りたたんだタオルをまとめて紙袋に入れて封をする。
「ホントはすぐに燃やした方が良いんだけど、これ以上は多分火災報知器が反応するから。
明日の朝まで、そうね、浴室に置いといて。呪いの効力は消滅してるから
このままでも問題ない。針がそのままだから気を付けてね。」
俺は浴室の棚の上に紙袋を乗せてベッドへ戻った。Sさんが缶チューハイを飲んでいた。
「さっきのは、禁呪ですか?」 「いいえ、呪い返しは禁呪じゃない。心配しないで。」
姫が俺にも缶チューハイを渡してくれた。

200『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:44:18 ID:Ugm8l/Kw0
 「術者自身の憎しみで相手を殺すのは禁呪ですが、
さっきの術は相手の呪いを再構成して返しただけだから大丈夫です。それよりも。」
「それよりも、何ですか?」
「どんな理由があれ、術者が血縁に手をかけるのは禁呪だし、大罪です。
血縁相克の大罪。だからSさんは呪いの始末を引き受けたんです。」
「呪いの本体は、やはり瑞紀ちゃんの血縁なんですね?」
「多分、叔父。つまりあのノロ雲上の息子。」
「そんな。」
「あのノロ雲上ほどの力を持つ人は術者の中にも滅多にいない。
できるだけ長生きしてあの土地を護るべきだし、是非そうして欲しい。」
あの老女が呪いを返せば相手は息子。結果的に、それは禁呪だ。
老女の寿命を削らせないように。
「さて、もうこの話はお終い。明日の予定なんだけど。」 「はい。」
Sさんはレンタカーの中にあったパンフレットを取り出した。
「天気も良くなるみたいだし、この水族館に行ってみたいな。ジンベエザメ、どう?。」
「賛成です。きっと瑞紀ちゃんにとっても良い気分転換になりますよ。」
「そうですね。翠も生きた魚を見るのは初めてだから喜ぶかも知れません。」

201『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:45:09 ID:Ugm8l/Kw0
 「さめさん、おおきいね〜。」 「さめさん、おっきい。ど〜ん、ゆらゆら〜。」
世界でも有数の大きさを誇る水槽の前で、姫と翠は大小様々な魚たちに見入っている。
大学生になった姫はますます美しく、親馬鹿かも知れないが翠はとても可愛い。
2人に気付いた観光客たちは、小声で話しながら振り返ったり、
一度通り過ぎたのにそれとなく戻ってきて近くから2人を見つめたりした。
ジンベエザメには負けるだろうが、2人も結構な数の視線を集めている。
俺とSさんは通路を隔てて少し離れた階段状の席、最上段に座った。そこから水槽を眺める。
ここまで上がってくる客はほとんどいない。広いスペースが貸し切り状態だ。
俺とSさんの間に少女が座っている。当然だが、朝からあまり元気がない。
俯いたまま、独り言のように話し始めた。
「〇吉おじさんは、私が本土に行く時助けてくれた人なんです。
母が私の事を相談したら『もうノロの時代じゃない』って、お金も出してくれたって。
なのに、何故私を。私、何か悪いことしたのかな。」
「昨夜返した呪いに関わるおじさんの記憶、それなら話してあげられる。聞きたい?」
少女はSさんの顔を見て、もう一度俯いた。
「聞かせて下さい。」

202『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:46:31 ID:Ugm8l/Kw0
 「あなたの姿、特に占いをしてるあなたの姿が沢山見えた。
おそらく定期的にあなたの様子を監視してたんだと思う。
沖縄から出る時、おじさんから何か貰ったんじゃない?」
「はい、カバンを。大好きなブランドのカバンをプレゼントしてくれました。」
「多分、その中に呪物が仕込んである。それを通してあなたの様子を探ってたのね。」
「でも、何故私を監視してたんですか?」
「どんな手を使っても、あなたがノロになるのを阻止したかったから。
あなたが占いのアルバイトを始めたのもおじさんには好都合だった。
あなたが力を玩具にしてるなら、自分が手を下さなくても、
そのうち寄ってくる色々なものに影響されて、あなたの魂は闇に侵食されていく。
当然あなたがノロになる可能性もなくなる。
友達を遠ざけたのもそのためよ。あなたに『良い出会い』をさせたくなかった。
『良い出会い』には闇を祓う力があるから。
でも、あなたは2人に出会い、力の使い方を考え始めた。これが『良い出会い』。
その直後、あなたの部屋に結界が張られ、監視するのがかなり難しくなった。

203『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:47:41 ID:Ugm8l/Kw0
 結界を張れる人間があなたに接触したのを知って、おじさんは焦ったでしょうね。
あなたが2人と交流を続けたら、力を正しく使おうと思う可能性は十分にある。
そして、あなたが力を正しく使うことはあなたがノロになる可能性に繋がる。
だからおじさんは最後の手段を取った、つまり呪いを掛けてあなたを殺そうとした。
その意味では、あなたに掛けられた呪いの責任が、私たちにもあるってこと。」
「私がノロになるのが、どうしてそんなに。」
「おじさんはあの集落からノロがいなくなるのを待ってたんだと思う。
ノロ雲上は高齢、あなたがノロにならなければ、集落からノロがいなくなるのもそう遠くない。
あなたが沖縄を出るのを助けたのもそれが目的。もしあなたが誰かに説得されて
ノロになると言い出したら厄介だから。ノロがいると困る理由、何か心当たりある?」
少女はハッとしたように顔を上げた。
「集落の大部分を再開発する計画があるんです。
大きなリゾートホテルを建てたり、ビーチを整備したり。
おじさんは建設会社を経営してるから賛成してるけど、お祖母さんは反対。
集落の人たちもほとんど反対だって。両親から聞きました。」
「多分それね。ノロがいなくなれば集落の人たちを説得しやすい。
でも、おじさんがあの集落に住んでるなら、力を使う時にノロ雲上が気付いた筈なんだけど。」

204『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:48:49 ID:Ugm8l/Kw0
 「おじさんは若い時から那覇に出て、今も那覇に住んでます。
お正月やお盆でもあの家には来ません。お祖母さんと仲が悪いって聞きました。」
「それなら力を使ってもノロ雲上は気付かない、納得。
それから、おじさんの力は生まれつきのものというより、後から身につけたものだと思う。
生まれつきのものなら、当然ノロ雲上が気付いた筈だから。
あなたに掛けた呪いも、ノロ雲上が使った術とは違う系統のような気がする。
もしかしたら沖縄以外の場所で術を習ったのかも知れないわね。
そして親戚や集落の人たちには自分の力を上手く隠して、
ノロ雲上が亡くなり、あなたの心が闇に侵食されるのをじっと待っていた。
でも事情が変わったからあなたに呪いを掛けた。ノロの後継者を確実に消すために。
結局失敗して、昨夜その報いを受けた訳だけど。」
「あの、おじさんは、どうなったんですか?」
「それはおじさん次第。そういう返し方をしたの。

205『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:50:12 ID:Ugm8l/Kw0
 もし心が完全に闇に侵食されたら、とても普通の生活は出来ない。
逆に言えば、呪いで他人に害をなすような人間でも、普通に生活しているのなら
闇に侵食されているのは心の一部だけ。そこが呪いの源になる。
この方法で返された呪いは呪いの源を壊すから、
返された呪いの効果は心がどの程度闇に浸食されているかによって違う。
記憶の一部と力を失うだけで済むかもしれないし、心が完全に壊れてしまうかも知れない。
心が完全に壊れてしまえば体もやがて壊れる。つまり、死ぬ。
勿論そうなっても私は良心の呵責を感じない。もちろん、ノロ雲上には気の毒だけど。
私のこと、冷たい人間だと思う?」
「ううん、Sさんが呪いの始末を引き受けてくれなかったら
お祖母さんが呪いを返して...そしたらお祖母さんはもっと辛い思いをしたはず。
それに、Sさんが冷たい人間なら、私をこんな風に助けてくれるなんて思えない。」
「力を玩具にし続けて、あなたの心が闇に侵食されてしまっていたら
私はあなたを殺すことになったかもしれないのよ?」
「でも、私の弱さがもとで私が私でなくなるなら、そして誰かを呪うくらいなら、
Sさんに殺して貰った方が良いのかも知れない。考えると、とても、怖いけど。」
「そこまで分かったなら、もう教えることはない。あとは自分で考えて決めるだけ。
力を封じるか、それとも使い続けるか。」 Sさんは少女の髪を優しく撫でた。

206『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:51:08 ID:Ugm8l/Kw0
 「R君、其処でちょっと停めて頂戴。」
水族館のカフェで昼食を食べてから、俺たちはナビを頼りに車を走らせていた。
姫が『山道を走らせていればヤンバルクイナが見られるかも知れない』と言ったからだ。
しかし当の本人はもう30分も前から翠と一緒に寝息を立てている。
Sさんは車を降り、脇道の入り口にある案内板を見つめた。
そしてしばらく脇道の奥を眺めてから車に戻ってきた。穏やかな笑顔。
「ありがと、車を出して。」
「どうしたんですか?」
「あの道の奥にも、ノロに護られた集落がある。探せばもっとあるでしょうね。
こういう場所も、ノロの後継者がいなければ、やがて聖域ではなくなってしまう。
私がおばあさんになるまでは、幾つか残っていて欲しいけれど。」
「なぜ、『おばあさんになるまで』なんですか?」
「もしおばあさんになって、術者を辞めることができたら、あんな場所に住みたいからよ。
立派なノロに護られた聖域で穏やかに余生を過ごすなんて、夢みたいでしょ?」
「出来れば海に面した場所が良いですね。」 「どうして?」
「おじいさんになったら、僕も術者を辞めて毎日魚を釣ってきます。」
「ふふ、素敵。約束よ?」 「はい、必ず。」

207『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:52:05 ID:Ugm8l/Kw0
 「あの、すみません。」 後部座席の少女がおずおずと俺たちに声をかけた。
「何?」
「どうしてSさんはノロが護っている場所に住みたいんですか?
Sさんなら自分で自分の住んでいる場所を護れるはずなのに。」
「私たちだって、心から望んで術者になった訳じゃない。
折角の力を封じるより、何かに役立てた方が良いと思ったからこの道を選んだの。
でも術者を続けていれば辛いこともあるし、嫌な思いも悲しい思いもする。
せめて年を取ってからは術を使わず、心静かに暮らしたい。
力のあるノロが護ってくれている場所でならその夢が叶う。長生きできれば、だけどね。」
「私、私がもしノロになったら、Sさんたちはいつかあの集落で暮らしてくれますか?」
「悪くない話ね。海に面してるからR君も不満ないでしょ?」 「それはまあ、そうですね。」
「それから、もう1つ聞きたいことがあって。」
「今度は何?」
「あの、翠ちゃんはSさんとRさんの子供なんですよね?」 「そうよ。」
「それでLさんはRさんの奥さん、それって一体どういう。」
「お嫁さんが2人いるの。私たちの一族では良くあること。」
「じゃあ私...ううん、何でもないです。」
これ、何だかややこしい展開じゃないのか?
何故Sさんは何故わざわざあんな、いや、事実なのだからあれ以外に答えようが無い。
ホテルへ戻る間、少女はずっと何か考え事をしているようで黙ったまま。
Sさんは興味深そうに窓の外を眺めながら黙ったまま。姫と翠はずっと寝たまま。
車の中は不思議な静かさで満たされていた。

208『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:52:58 ID:Ugm8l/Kw0
 「じゃ、出掛けましょう。約束通り私が御馳走します。いっぱい食べて下さいね。」
「実はもう、予約してあるの。それも個室のお座敷。」 「和食、ですか?」
「沖縄ソバの店。」 「ソバ?」
「そう、折角沖縄に来てるのに沖縄ソバ食べないで帰る訳にはいかないでしょ。」
「大賛成です。」 「まだ食べたことないですしね。」
「でも、それじゃお金が全然。」
「約束したのはみんなの夕食、金額じゃない。」
「Sさん...」

 「私、高校を卒業したら沖縄に戻ります。」
沖縄ソバを食べ終え、食後のアイスコーヒーを飲みながら少女が口を開いた。
「大学に通いながらノロになる勉強をしようと思って。」
「え、瑞紀ちゃんノロになるの?」 姫は寝ていたのであの話を聞いていない。
「また気が変わるかも知れないけど、今はノロになりたいと思ってます。」
「何故ノロになろうと思ったの?あれ、顔、赤い...あっ!」
突然耳鳴りがした、これは? Sさんと姫の顔も緊張している。
「みず き」
立ち上がった翠が姫の肩越しに少女に向かって右手を伸ばしていた。
でも、これは翠の声じゃない。

209『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:53:34 ID:Ugm8l/Kw0
 「お祖母さん。」 「瑞紀ちゃん。あなたなら。」
姫が翠を少女の前に立たせる。少女が翠の手を取った。
そのまま深く息を吸って眼を閉じる。やがてその頬を涙が伝った。
「Sさんの術のお陰で、〇吉おじさんは死なずに済んだ。
Sさんと皆さんに、くれぐれもお礼を申し上げるようにって。」
「あなたには何を?」
「ノロになろうと思ってくれたのは嬉しいけど、半端な気持ちではノロになれない。
時間をかけて、しっかり考えて、それでもノロになるなら面倒を見る...」
少女は声を詰まらせて涙を拭った。
「これで一件落着ね。さて、それにしても。」
Sさんは翠を抱き上げた。
「あの時にノロ雲上と共振、したんでしょうけど。一歳半の依り代なんて聞いたことがない。
感覚を少し、封じておく必要がありそうね。」
Sさんは翠に頬ずりをした後、その眼を見つめて溜め息をついた。

210『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:54:18 ID:Ugm8l/Kw0
 飛行場のロビーを出て、駐車場からすぐに少女のアパートへ車を走らせた。
姫が部屋の中を清め、結界を張り直している間に
俺とSさんは少女のカバンを調べた。呪いの本体である叔父から贈られたカバン。
学校やアルバイトにも持っていくし、大好きなブランドなら捨てることは考えられない。
もちろん紛失する可能性も小さいという訳だ。
「やっぱり。これは琉球神道のものじゃない。むしろ道教に近い系統ね。」
カバンの底、中敷きの裏に隠された紙には、文字と文様がびっしりと書き込まれていた。
「これを通して、ずっと私を監視してたんですね。」
「そう、これが通路になったから呪いの一部が結界を抜けてあなたに届いた。
結界を張っていなかったら首のアザでは済まなかったかも知れない。」
Sさんはその紙を折りたたんで白い封筒に入れた。
「これは後でちゃんと始末しておく。新しい結界を張ったから
あなたの力に引き寄せられるものもこの部屋には入れない。まずは一安心。」
「本当にありがとう御座います。」
「ただ、問題が1つ残ってる。あなたのアルバイト。
占いハウスのアルバイト、どうするつもり?」
「辞めます。ちゃんとノロの勉強をするまで、なるべく力を使いたくないから。」
「でも、それだと生活費が苦しいわよね?」
「はい、でも...」

211『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:54:56 ID:Ugm8l/Kw0
 「ねぇ瑞紀ちゃん。私の知人の家で働かない?住み込みのお手伝いさんを探してるの。」
「住み込みのお手伝いさん、ですか?」
「そう、給料は安いけど、住み込みだから部屋代も食費も要らない。
その家から高校に通えるし、家事の手伝いをしながら規則正しい生活をするのは
きっと将来あなたの役に立つ。遊ぶ時間はなくなっちゃうけど。どう?」
「今までたくさん遊んだから、遊ぶのはもう良いです。その人の家で、働かせて下さい」
「じゃ、決まりね。知人と相談したらすぐに連絡する。
夏休みだし、部屋の手続きと引っ越しの準備、出来るだけ速く済ませておいてね。
占いハウスを辞める時に問題が起きたら私たちが一緒に交渉してあげる。」
「はい、頑張ります。」
「うん、良い返事。じゃR君、L、私たちも帰りましょう。」
俺たちがアパートの駐車場に停めた車に乗り込むと、少女は深々と頭を下げた。
「何から何まで、本当にありがとう御座いました。」
Sさんが後部座席の窓を開けた。
「本当にあなたがノロになったら、私たちも引退後の話、ちゃんと考える。約束ね。」
「はい、それで、あの。」
少女は口ごもって俯いた。

212『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:56:41 ID:Ugm8l/Kw0
 「ノロになって、そして25歳になってもお嫁に行けなかったら、
R君に相談しなさい。あなたの望み、案外すんなり叶うかも知れないわよ。」
「ちょっとSさん、勝手に変な事決めないで下さい。」
「相談しなさいって言ってるんだから『勝手に』じゃないでしょ。ね〜。」
「はい。相談します。ノロになって、25歳になったら、必ず。」
晴れやかな笑顔で手を振る少女を残し、俺は車を出した。
「あんなこと言って、彼女が本気にしたらどうするんです。」
「あの子はとうに本気よ。だからノロになるって決めたんじゃないの。
こんな時だけは妙に鈍いのね。不思議。」
「瑞紀ちゃんがRさんを好きなのは知ってましたけど、
それと彼女がノロになろうと思ったことに関係があるんですか?」
「術者を引退して余生を過ごすなら、ノロが護ってくれてる場所が良いって、Sさんが。」
「あの子がノロになったら、あの集落で私たちに余生を過ごして欲しいそうよ。
そしたらいつまでもR君と一緒に住めるから。」
「同じ家に住むなんて言ってません。第一そんな、何て言うか、不純な動機で良いんですか?
ノロになるのは、一生を賭けた大仕事なのに、痛たたたた。」
左頬をつねられた。
「動機としてはともかく、あの子の気持ち自体は不純じゃない。
それに、一生を賭けた大仕事だからこそ、モチベーションが大切なの。
そのためならどんな辛いことにも耐えられるっていう目標。健気よね。」

213『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:58:09 ID:Ugm8l/Kw0
 「不純じゃなくて健気ならかえって厄介でしょうに。彼女がノロになって、25歳になって、
それで本当に相談に来たら一体どうするつもりなんです。僕は責任持てませんよ?」
「あんな可愛い子が真面目に頑張ってたら、周りが絶対にほっとかない。
沖縄に帰ったら、あっと言う間にふさわしい相手が見つかる。」
「でも、もし相手が見つからなかったら。」
というより、あの笑顔じゃ相手を見つける気があるのかどうか疑わしい。
「あと8年、私36ね。その歳で子供を産むのは難しいかもしれないから、
良いんじゃない、あの子にR君の子を産んでもらうのも。
集落と其処に住む人たちを護るノロは、ただの術者とは系統が違う。
きっと術者になるのとは別の、大変な修行を何年も続けなければならないはず。
もし、それほどの努力をして、本当にノロになって相談に来るのなら、
私はあの子の望みを叶えて上げたいな。力を持った子も生まれそうだし。」
「Rさんの子供が全部で10人くらい生まれたら、半分くらいは力を持ってるかも知れませんね。
その中には術者になる子も、瑞紀ちゃんの跡を継いでノロになる子だっているかも。
私も、力のあるノロとノロが護っている聖域は、いつまでも残っていて欲しいです。」
「ちょっと、Lさんまで一緒になって何を言い出すんです。僕はあの子の事、いや。」
あの子の事は問題じゃない。深呼吸を1つ。落ち着け、俺。
「僕は何時だってSさんとLさんの事で頭がいっぱいなんです。2人が本当に大好きですから。
こんな美人が目の前に2人もいるのに、他の女の人の事を考えるなんて絶対無理ですよ。」
「あら、ありがと。綺麗な言霊。L、どうしたの?顔、真っ赤よ。」

『道標(下)』 了

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