598 :『約束(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/11/14(木) 23:20:26 ID:/QxSN9gc0 少し開けた窓から流れ込む潮風、微かに混じるディーゼルエンジンの排気臭。この街では比較的大きな港に俺は車を停めた。渡船や船宿の看板が幾つか見える。地元では釣り場としてもメジャーな港らしい。途中の釣具…
501 :『新しい命・第弐章』 ◆iF1EyBLnoU:2013/09/27(金) 22:14:41 ID:94SVkDkM0 『新しい命・第弐章』 少しだけ開けた窓から、鳥たちの声が聞こえてくる。梅雨の雨がしっとりと山々を潤し、その緑が一層鮮やかさを増す。輝く夏を間近に控え、様々な命が萌える季節。未だ大きな不安を抱…
494 :『遺産(結)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/09/27(金) 21:05:00 ID:94SVkDkM0 『遺産(結)』 お屋敷に戻ってきた日の夜。翠を寝かしつけた後で、Sさんは俺と姫をリビングに招集した。いつもなら翠と一緒に寝てしまう時間だが、今夜は姫もしっかり起きている。テーブルの上には背の高いグ…
456 :『遺産(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/09/12(木) 19:18:27 ID:AZimxqIY0 翌朝、釣り具を持って広場に出ると、姫が草むらを見つめていた。俺の気配に気付いたのか、背中に廻した手で、そっと『おいでおいで』の仕草。未だ早朝の気温は低く、空気はヒヤリと冷たい。そっと隣りに立って姫…
432 :『遺産(中)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/09/01(日) 23:16:09 ID:YP4f5pak0 『遺産(中)』 俺たち4人が当主様のお住まいに着いたのは5月2日、午前11時過ぎ。遍さんの言葉通り、洋館の一階、かなり大きな部屋が用意されていた。この洋館は当主様のお住まいであると同時に、様々な『…
425 :『遺産(上)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/09/01(日) 22:19:58 ID:YP4f5pak0 「遺産(上)」 大きく開いた窓から爽やかな風が吹き込んで来る。よく手入れされた中庭の木々、柔らかな若葉の香り、そして鳥の声。 「『聖域』の中、ある場所でスズキを主な対象にした調査を計画しています…
314 :『名残雪』 ◆iF1EyBLnoU:2013/07/05(金) 18:54:01 ID:7ZYL5W1M0 『名残雪』 「じゃ、L、しっかりね。R君も、Lの事頼んだわよ。」 「ばいば〜い。」姫と俺を駅前に残し、Sさんと翠を乗せた車が遠ざかっていく。「Rさん。3日間、宜しくお願いします。」 姫が礼儀正しく頭…
271 :藍 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/26(水) 00:16:19 ID:JGC1Aft20 『呪物』 「正月早々かなり珍しい仕事が来たわよ。もし本物なら、だけど。」電話を切ったSさんが明るい笑顔でリビングに戻ってきた。「どんな仕事ですか?私とRさんで出来る仕事なら何でも。」姫はSさんの体を気遣ってい…
214 :『道標(結)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 21:01:17 ID:Ugm8l/Kw0 『道標(結)』 肌を刺すような冷たい風に乗って白いものがひらひらと舞っている。初雪だ。産婦人科での定期検診を終えてお屋敷へ帰る途中。辺りは既に薄暗い。Sさんのお腹の子は妊娠三ヶ月目に入った。俺たち…
187 :『道標(下)』 ◆iF1EyBLnoU:2013/06/14(金) 20:19:36 ID:Ugm8l/Kw0 『道標(下)』 飛行機が那覇空港に着いたのは午後1時過ぎ、光の圧力さえ感じるような強い日差し。翠の事を考えると、午前中の便が良いと思ったのだが仕方ない。何しろ夏休み。トップシーズンの沖縄で前日の予…